一年目エンジニア

n年目です。

FUZZ FACE 直流バイアス計算

FUZZ FACEの回路図

メジャーなFUZZ FACEの回路図は下記のようなものです。*1
実際はQ2のコレクタ抵抗を分割し、その間から交流信号をコンデンサで抜き出します。

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直流分のみ考えると下記のようになります。

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赤線の電流経路を考慮して、Q1のコレクタ電圧、Q2にとってのバイアス電圧を計算します。

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バイアスの計算

Q1のベースに流れる電流は、
IB1 = IF = (VE2-VB1)/RF = (VE2-VBE)/RF …(1)
となります。
Q2のエミッタ電圧VE2は
VE2 = VC1 - VBE …(2)
となります。
Q1のコレクタ電圧VC1は、コレクタ抵抗による電圧降下分と等しいので、
Q1の直流電流増幅率をHFEとすると、
VC1 = VCC-IB1*HFE*RC1 …(3)
となります。
(1)式を(3)式に代入します。
VC1 = VCC - (VE2-VBE)/RF*HFE*RC1
   = VCC - (VC1-VBE-VBE)/RF*HFE*RC1
   = VCC - (VC1-2*VBE)/RF*HFE*RC1
= VCC - VC1/RF*HFE*RC1 + 2*VBE/RF*HFE*RC1 …(4)
(4)式をVC1についてまとめると、
VC1 = (VCC+(2*VBE*HFE*RC1/RF))/(1+(HFE*RC1/RF)) …(5)
となります。

シミュレーションによる検証

計算が正しいかどうかシミュレーションにより検証します。
シミュレーションに用いた部品定数は図の通りで、HFE = 200です。
計算の結果は、
Q1のコレクタ電圧VC1=1.246V
Q2のコレクタ電圧VC2=2.327V
となりました。
シミュレーションの結果は
Q1のコレクタ電圧VC1 (グラフ緑)=1.300V
Q2のコレクタ電圧VC2 (グラフ青)=2.263V
となり、ほぼ同じになっています。*2

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*1:実際はPNPトランジスタを使用して、電源に-9Vを使用していますが、個人的にNPNの方が理解しやすいのでNPNで書いています。

*2:国内外のサイトをあさって見ると、実際の製作ではバイアス調整用のトリマを用意しておく場合があるようです。