一年目エンジニア

n年目です。

オームの法則で理解する歪みエフェクター(電気回路の基本2)

ijimenaide.hatenablog.com
上記の続きです。

オペアンプ

「+入力端子」「-入力端子」,2つの端子の間にある電圧の差を大きくして出力するICです。

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ピン

オペアンプには複数の端子があり,それぞれに電源や信号を接続する必要があります。どこに何を接続すればよいかはデータシートに記載されています。どのICも,およそ以下のようなピンがあります。

名称 機能 詳細
IN+ +入力端子 入力端子です。信号を入力します。
IN- -入力端子 入力端子です。信号を入力します。
V+ +電源 電源です。+9Vなどを繋げます。
V- -電源 電源です。V+よりも低い電圧を入力するか0Vに接続します。
OUTPUT 出力端子 IN+とIN-の差を何万倍かして出力します。

パッケージ

パッケージ(ICの形状)も様々なものが有りますが,自作用途としては基板のスルーホールに挿せる「DIP8」を選択しましょう。

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以下はDIP8外観や寸法が分かるリンクです。
https://www.njr.co.jp/products/semicon/package/DIP8_J.html

重要な特性

増幅

「+入力端子」電圧と「-入力端子」電圧の差を何万倍にもした電圧を端子に出力します。
例えば,2つの入力の差が1Vで1万倍できるオペアンプを使った場合,1万Vが出力されることになります。

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しかし,オペアンプは繋がっている電源電圧までくらいまでしか電圧を出力することができません。例えば、+電源に+9Vを,-電源に0Vを使用していたら,出力電圧は約+0.6V~+8.4Vの範囲でしか出力することができませんので注意が必要です*1

高い入力抵抗

入力抵抗とは,入力端子に直列に入っている抵抗値のことです。入力端子に電源や信号源を接続した場合,入力端子からオペアンプにどれくらい電流が流れ込むかを表しています。

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オペアンプの入力抵抗は,数M~数10MΩで,とても高いため殆ど電流が流れません。
この特性を利用することで,オペアンプを使った増幅回路の計算が簡単になります。
詳しくは回路の項で説明を行います。

その他回路記号について

下図は電源やGND(0V)を示しています。

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記号の近くにかかれる文字や数字が,電源やグラウンドの種類を示します。

これらの記号同士は,回路図上で離れて表記されていても実際の回路では接続します。

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書いてある文字が違う場合は接続しません。
下図ではGNDは接続しますが,+9Vと+4.5Vは接続しません。

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また次のような,信号線の上に文字が書いてある信号同士も,実際の回路では接続されます。

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次のテキストからはオームの法則をつかって簡単な回路の電流や電圧を求めていきます。

*1:電源電圧と同じくらいの幅で電圧を出力できるオペアンプも有ります。電源電圧まで出力を出せる特性のことを”レールtoレール”といいます。