一年目エンジニア

n年目です。

オームの法則で理解する歪エフェクター(オームの法則1)

ijimenaide.hatenablog.com

続きです。

オームの法則

ここからは実際に回路図を読み,各部の電流や電圧を求めるための学習を行います。
まずは下の図の回路を使って説明を進めます。

f:id:daigakuinnsei:20200328225236p:plain:w300

電圧・電流・抵抗の関係は式で表すことができ,これをオームの法則と言います。
「抵抗Rに電圧Vがかかっているとき,抵抗Rに流れる電流はIとなる」法則です。式で書くと以下のようになります。

  1. 電圧 = 電流 × 抵抗 または V = I × R
  2. 電流 = 電圧 / 抵抗 または I = V / R
  3. 抵抗 = 電圧 / 電流 または R = V / I

2の式は「抵抗の両端の電圧を抵抗値で割ると電流を求められる」ことを示しています。
3の式は「2点間の電圧をそこに流れる電流で割ると抵抗を求められる」ことを示しています。

実用上,それぞれの式は以下の場合に利用できます。

  • 1式は「抵抗と電流」が分かっていて「電圧」を求めたい場合
  • 2式は「電圧と抵抗」が分かっていて「電流」を求めたい場合
  • 3式は「電圧と電流」が分かっていて「抵抗」を求めたい場合

例題を使って確認していきます。

例題 : 電源と抵抗

例題1

10Vの電源に100Ωの抵抗を繋げた回路に流れる電流を求めます。
f:id:daigakuinnsei:20200328225349p:plain:w300
※図中の抵抗は100Ωです。表記抜けミスです。

分かっているのは「抵抗と電圧」なので,先程の2の式を使います。
抵抗の上端は10V,下端は0Vに繋がっていますので,式は次のようになります。

  • I = V / R = 10V / 100Ω

よって,電流は0.1Aです。

例題2

10Vの電源に50Ωの抵抗を2つ直列に繋げた回路で流れる電流を求めます。
f:id:daigakuinnsei:20200328225950p:plain:w300
なお,「直列」とは1本の信号線上に真っ直ぐ連なって部品が繋がることを言います。

分かっているのは「抵抗と電圧」なので,先ほどと同様に2の式を使います。
直列に繋がった抵抗の上端は10Vに,下端は0Vに繋がっていますので,抵抗に流れる電流は以下のように求められます。

  • I = V /R = 10V / (50Ω + 50Ω) = 0.1A
例題3

例題2の回路において,2つの抵抗間の電圧を求めます。
f:id:daigakuinnsei:20200328225530p:plain:w300
まず,上の抵抗によってどれくらい電圧が落ちるかを計算します。その後で抵抗上端に加わる10Vから,抵抗によって落とされた電圧を差し引くことで求めることができます。

求めたいのは上部抵抗両端の「電圧」なので,1式を使います。
電流は例題2ですでに計算済みのため,これを利用します。

  • V = I × R = 0.1A × 50Ω = 5V

上部抵抗両端の電圧は5Vとわかりました。これをその後で抵抗上端に加わる10Vから差し引き、抵抗間の電圧は10V - 5Vから、5Vとわかります。
f:id:daigakuinnsei:20200328225612p:plain:w300
二つ同じ抵抗が直列に並んでいる場合,実用的に以下を覚えおくと便利です。

同じ抵抗が直列に2つ繋がっていたら,その中間地点の電圧は,直列に繋がった抵抗に加わる電圧の半分になる。

例題4

電源Vに2つの抵抗R1とR2が直列に繋がっています。
この回路に流れる電流Iと抵抗間の電圧Vrを求めます。
f:id:daigakuinnsei:20200328230035p:plain:w300

電流Iを求める
直列に繋がった抵抗R1とR2に電圧Vが加わっています。電圧と抵抗のみ分かっているので,2の式を使い電流を求めます。

  • I = V / R

電圧Vは抵抗R1とR2に加わっているので,RはR1とR2の合計と考えることができます。よってR = R1 + R2 となります。これを式に代入すると電流を求めることができます。

  • I = V / (R1 + R2)

抵抗間の電圧Vrを求める
例題3と同様の手順で求めます。
抵抗R1両端の電圧を先ほど求めた I = V / (R1 + R2) を利用して求めます。1式を使います。

  • R1両端の電圧 = I × R1 = V / (R1 + R2) × R1

R1とR2の間の電圧Vrを求めます。「R1に加わっている電圧V」から「R1両端の電圧」を引きます。

  • Vr = V -R1両端の電圧

R1両端の電圧 = V / (R1 + R2) × R1 なので,上式は以下のようになります。

  • Vr = V - ( V / (R1 + R2) × R1 )

式を計算していきます。

  • Vr = V - ( V / (R1 + R2) × R1 )

Vでくくります。

  • V - ( V / (R1 + R2) × R1 ) = V ( 1 - R1 / (R1 + R2) )

括弧の中を整理します。1 = (R1 + R2) / (R1 + R2) として代入します。

  • V ( 1 - R1 / (R1 + R2) ) = V ( (R1 + R2) / (R1 / R2) - R1 / (R1 + R2) ) = V × R2 / (R1 + R2)

Vrの式にします。これでR1とR2の間の電圧を求めることができました。

  • Vr = V × R2 / (R1 + R2)

次テキストではコンデンサを使ったオームの法則についてです。