一年目エンジニア

n年目です。

自作エフェクター オクターバもどき

エフェクターのオクターバもどきを作りました。

作るきっかけ

オペアンプを使ってかなり強く歪ませたファズを作った後、別なエフェクターを作ろうと思ったことが発端です。
比較的簡単にできて、しかもアナログだけで作れるエフェクターとしてオクターバを選びました。
全波整流回路を利用して、入力した波形の倍の周波数が作れるので面白いかと。
ネタ元は以下のページです。
全波整流回路の設計ノウハウ PART2

仕様検討

リンク先を参考に回路設計をします。
仕様はとりあえず

  1. +9V電源動作
  2. 全波整流の山をボリュームで可変
  3. ベース向けの周波数目標(高周波は切っても可)

が守られていればOKとしました。

回路設計

LTSPICEで設計です。

  1. 初段の非反転増幅回路で、入力を高インピーダンスで受けて20倍で出力します。
  2. 次段の反転増幅回路で、反転します。
  3. 初段アンプの出力と次段アンプの出力は、それぞれトランジスタのに入力されます。
  4. Q1/Q2のトランジスタはいずれかしかONしないので、C7で取り出せる出力は全波整流されたものになります。

出来上がった回路は次のようになります。
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入力が0.1Vの正弦波だった場合、Q1/Q2の波形は次のようになります。
一方は反転アンプの入力、もう一方は反転アンプの出力なので、互い違いの波形になります。
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Q1/Q2の上部にある抵抗に電流が流れると、電流の波形を電圧として取り出すことができます。
Q1/Q2がONするときは、Q1/Q2のベース電圧が0.6V以上の時です。
イメージとしては、先ほどの波形の電圧0.6V以上の時の波形が取り出される感じです。

実際、R5の波形は次のようになります。
全波整流的な、元の周波数を倍にした信号が取り出せます。
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反転増幅アンプのゲインを変えると、当然出力は変化します。
例えばR2を1Ω、5kΩ、10kΩと変化させると反転アンプの出力は次の様になります。
アンプは出力を振り切ります。
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するとR5から取り出せる波形も次のように変わります。
反転増幅アンプから取り出す信号が支配的になります。
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アートワーク設計

KICADを使います。


回路図を書いて、
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パターンを書いて、
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チェックして、
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okであれば発注です。
発注にはfusionPCBを使いました。
www.fusionpcb.jp

実装

2週間くらいで基盤がとどくので、その間に部品を集めておきます。


届いた基板に、部品実装や配線を施していきます。
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途中、足りない部品があったので別の定数に変更を行ったり、その場しのぎで完成。

音出しの結果

手持ちのアンプシミュレーターが古すぎて生音がしょぼいので、エフェクトをかけても何とも言えない感じ。
微調整が必要かと…。